沢木耕太郎に憧れて…PC.スマホのない旅⑥ハジャイ夜遊び…冷凍マグロ

ハジャイのバスターミナルでの下見を終えた私は、ダイイチホテル周辺の夜遊びスポットを訪ねる事にした。
それは性的な欲求よりも、同業者としての興味からだった。
日本とタイの風俗店のシステムの違いはどうだろうか?
何かタイならではの面白そうな何かがあるのだろうか?
そんな事を考えながらふらふらと歩いていると、不意に日本語で声を掛けられた。
一軒のマッサージパーラーからひょっこりと顔を出し、笑みを浮かべる前歯の欠けた中年の女がそこにいた。
ミルダケイイヨ。ミルダケダイジョウブ。ドウゾ。ドウゾ。
思いのほか流暢な日本語で、私に話し掛けて来たその女は、その店のマネージャー(コンチア)のようだった。
入口横のひな壇の女達は2500バーツ、真ん中付近の女達は1500バーツ、そして一番奥の女達は1800バーツ。
2500バーツの選択を外し、コンチアの女にお薦めの女を聞く。
17バンハドウ?ワカイネ。1800バーツネ。
特にタイプに拘りのない私は、コンチアの推薦した女に決めた。
私の選んだ17番の女は私の手を取り、2階分の階段をあがり部屋まで案内してくれた。
その部屋はまるで日本のソープランドのそれと同じだった。
大きなベッドと大きな浴槽。
17番の女は部屋に入るとすぐにベッドに横になった。
この時点で私は悟った。
良いサービスは望めない事を。
名前や年齢、出身地、日本食は好きか?など…どうでも良い会話を交わした後で、女は重い腰を上げて浴槽にお湯を溜め始めた。
ちょろちょろと流れ出るお湯は、いっぱいになるまで相当な時間が掛かりそうに見えた。
とりあえずシャワーにしよう。
私は女に告げると自分でシャワーを浴び始めた。

遅ればせながら女も私のシャワーの手伝いをする。
手伝いと言ってもシャワーヘッドを私に向けるだけだ。
女もシャワーを終え一戦交える準備が整った。
女はベッドに横たわると天井の一点を見つめていた。
まるでそれはダッチワイフか人形のように見えた。
もしかしたらダッチワイフの方がまだマシかもしれない。
幼児体型のその女の体には体毛が一切なかった。
まるでキューピー人形のようだった。
やる気の萎えた私は女にマッサージをリクエストした。
やる気のないマッサージの合間に女は私の股間に時より手を伸ばしては弄んでいた。
今夜はギンギンに凍った冷凍マグロを釣り上げたようだ。
こういう時もある。
釣りと同じだ。思いがけず大物が釣れる時もあればボウズの時もある。
階下の受付のあるフロアに降りた私はコンチアの姿を探した。
文句を言うつもりはなく世間話でもして帰ろうかと思ったがそこに彼女の姿はなかった。
f:id:superhero999:20200411145142j:plain
【トレファクスタイル】